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バックナンバー【今月のトピック】

2009年12月度(2010/3/1発行) RDBデータベースの業種構成


RDB企業デフォルト率は、全国約60の参加金融機関のご協力のもとに弊社が構築した貸出先企業のデータベースを算出根拠としている。銀行貸出先を幅広く網羅した母集団は中小企業全体のまさに縮図であり、そこで観察されるデフォルト率は、国内中小企業の経営環境そのものと解釈することができるが、一方で統計値には「クセ」がつきものである。今回は、このデフォルト率をより正しく理解する上で重要な、母集団の特性についてもう少し詳細に見ることとしたい。

図は、データベースに含まれる企業を、デフォルト率の業種区分と同様に分類し、その構成比を公的な統計資料と比較したものである。比較の対象としては、総務省の「事業所・企業統計調査」における企業数の集計結果の直近分(2006年)を採用し、時点を揃えてある。

これによると、両者の業種構成は概ね似通っている一方で、弊社データは卸売業の比率が高く、逆に小売・飲食業の比率は低い、という相違点も見ることができる。業種別の売上高分布を見ると通常は、卸売業が会計的な理由から他の業種に比べて大きい方に偏る一方、小売・飲食業は事業の特性上、逆に小さい方に偏る傾向がある。そして、弊社データのこうした業種構成は、相対的に大きい事業規模の大きい先が対象となりがちな「銀行融資先」の特徴と見ることができよう。

RDB企業デフォルト率は、本来の意味での中小企業のうち「銀行から融資が受けられた先」の状況を示しており、これは言い換えると、資金調達を銀行に頼ることのできない、より厳しい環境にある中小・零細企業がこの数値の外側に多数存在する、ということでもある。RDB企業デフォルト率を中小企業全体の代理変数として扱う際には、より深刻な状況に置かれた企業群があることを前提に、慎重に解釈を進める必要があろう。

(尾藤 剛)

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