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バックナンバー【今月のトピック】

2010年1月度(2010/3/31発行) 実質破綻先を基準とした実績デフォルト率


先般、ある読者の方から、純粋な法的破綻にデフォルト先を限定した場合のデフォルト率の推移について問い合わせをいただいた。RDB企業デフォルト率は、法的破綻に至らない「破綻予備軍」の動きまで幅広く捕捉できるという特徴を有しているが、一方でマクロ経済指標として以前よりなじみのある倒産件数との比較においては、デフォルトの定義が揃っていたほうが解釈がしやすいという側面もある。また、破綻懸念先に代表される「破綻予備軍」は、その時々の規制や銀行の方針等によって解釈に幅が生じる余地があり、時系列で見たときの定義の一貫性という観点からすると、多少デフォルト定義を限定的に解釈した指標にも一定の意義があろう。

図は、デフォルトの定義を「実質破綻先、または破綻先」に置き換えた場合のデフォルト率について、通常定義のものと推移を比較したものである※。両者の違いは、3ヶ月以上延滞先、及び破綻懸念先をデフォルトに含めるか否かの一点だけであり、分母の調整は行っていない。従って、3ヶ月以上の延滞発生後に、実質破綻先に認定された場合には、当該認定時点でデフォルト先としてカウントしている。これによると直近2010年1月の数値は、通常定義の2.87%に対して、実質破綻先以下で1.97%となる。

この比較的堅い定義である実質破綻先以下のデフォルト率についても、改善傾向にあるとは言え依然として過去最高水準にある点は注目に値しよう。一般のニュース等で目にする倒産件数の動向とは異なる水準観を示している点は、RDB企業デフォルト率のマクロ経済指標としての一つの意義と考えられる。

(尾藤 剛)

※ 弊社データベースのデータ収集ルール上、実質破綻先に該当した時点で銀行にて損失処理がなされると、それ以降に法的破綻事象が発生しても破綻先として認識されないケースが起こりうることから、ここでは破綻先に限定せず、あえて実質破綻先を含めた定義を採用した。

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