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バックナンバー【今月のトピック】

2009年11月度(2010/2/1発行) 前回不況期と今回との比較に見る非製造業の苦境


昨年11 月のRDB企業デフォルト率は前月比微減に留まった。国内景気の回復の足取りは依然として重く、二番底への懸念もくすぶるが、デフォルト率全体の趨勢としては昨年3月の3.38%を直近のピークに低下局面が続いているものと見られる。ここで本指標について、前回不況期のデフォルト率のピークを探ってみると、2002 年4月の2.69%という値に行き当たる。当時はITバブル崩壊後の時期に相当し、同時に銀行の不良債権問題が日本経済全体に暗い影を落としていた。

図は当時と今回とでデフォルト率の数値を比較したものである。今回のデフォルト率のピークにおいては全体の水準が0.70%p も高く、企業を取り巻く経営環境は当時よりも深刻であるのは間違いない。この数値だけを見ると、あらためて銀行の不良債権問題が浮上しても不思議はないのだが、そこは若干様相が異なっているようだ。すなわち、当時は一部大口不良債権の問題、すなわち集中リスクが最大の病巣だったのに対して、今では小口分散を基本とするリスク管理が相応に進み、デフォルト率の上昇に対する銀行の経営体力は相応に向上しているものと思われる。

さて、今回の特徴として、デフォルト率の水準を大きく切り上げたのは非製造業で、製造業は前回並みに留まっている点が挙げられる。これは、今回の不況が海外発の金融危機に端を発すると言われているにもかかわらず、文字通り「未曾有」の影響を受けたのは、外需への依存度が高い製造業ではなく、内需への依存度が比較的高い非製造業であったことを意味する。慢性的な内需の不振が叫ばれる中、国内非製造業の経営環境の厳しさはもはや限界に来ている。「実現可能性の高い抜本的な改善計画(実抜計画)」とは金融円滑化法のキーワードの一つであるが、国内非製造業に対する処方箋として政策当局に求められるものこそ、国家の産業政策としての実抜計画であろう。

(尾藤 剛)

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