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2009年9月度(2009/11/30発行) 輸出関連業種は景気回復を主導できるのか?
9月のRDB企業デフォルト率は全体で3.07%となり、半期ベースでのデフォルト率の顕著な改善が確認できる結果となった。これは、リーマンショックに世界が震撼した昨年9月と奇しくも同じ数値であり、激動の1年を経て中小企業の経営環境は、デフォルト率という切り口から見てようやくその入口地点に戻ったことになる。
表は、この1年間のRDB企業デフォルト率の騰落について、弊社所定の25の業種区分別に集計したものである。これによると、この1年間でデフォルト率が最も低下したのは、パチンコホールに代表される娯楽業であった。これは2007年後半の規制強化以降、一足先に厳しい経営環境にあった反動が要因と見られる。一方、逆にデフォルト率が最も上昇したのは不動産取引業であり、これは今なお続く大手デベロッパーの経営破綻にも見られるが、深刻な不動産不況を反映したものと言えよう。
さて、この表にて一つ特徴的なのは、国内景気の回復のけん引役として期待されることの多い輸出型の製造業が、軒並み下位に低迷している点である。主に海外での需要回復をてこに、日本の大手輸出メーカーにおいても徐々に生産が回復しているとのニュースを目にすることも多いが、この数値を見る限り、大手メーカーにおける生産回復の恩恵が中小企業にまでは十分に広がってきていない様子が伺える。
折りしも14年ぶりの円高を記録し、大手輸出メーカーが価格競争力を維持する上では、海外生産への一段のシフトが検討される場面にある。出遅れ感の強い中小製造業にとっては、目下の円高が大手メーカーの国内生産離れに更に拍車を掛けることが、新たな懸念材料として意識される。
(尾藤 剛)
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