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バックナンバー【今月のトピック】

2009年8月度(2009/11/2発行) 不況期に拡大する企業の信用力の「格差」


直近のデフォルト率は5ヶ月連続改善の3.27%(前年比+0.27%p)となり、上昇一途をたどっていたデフォルト率も、ようやくピークを過ぎたように見える。一方で、これを中小企業側の財務状態の優劣にもとづく「信用格付」別に集計すると、不況が弱者をより弱い立場に追い込むという一般論について、デフォルト率の推移を通じてあらためて知ることができる。

図は、全国の企業を財務状態に応じて4つにグループ分けし、各グループについて実績デフォルト率の推移を示したものである。これによると、財務状態の悪い、すなわち信用力の低いグループほど、景気変動の影響を受けてデフォルト率が大きく変動するのがわかる。最下位のグループのデフォルト率は今なお10%を超えているが、これは、銀行融資先のうち信用力の下位1/4に含まれるグループでは、今なお10社に1社が1年以内にデフォルトしていることを意味する。不況期には、良い企業と悪い企業の信用力の「格差」も拡大するのである。

「モラトリアム」などとセンセーショナルな見出しが躍った新政権の中小企業支援策であったが、10月30日の「中小企業金融円滑化法案」の閣議決定内容を見ると、銀行の努力規程という現実的な線での着地を迎えるようだ。同法案では不良債権の認定基準を一段と緩和する内容が盛り込まれており、この点がデフォルト率を引き下げる方向で影響することが期待される。今後は政策の実効性が問われることになるが、先に見た最下位のグループが救われてこその弱者救済である。信用力別の実績デフォルト率の推移に今後は注目が必要となろう。

(尾藤 剛)

(※ 弊社が毎月開示している信用ランク8区分を、説明の簡略化のためにここでは4区分に集約した。)

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