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バックナンバー【今月のトピック】

2012年4月度(2012/6/29発行) 円滑化法の期限と零細企業のデフォルト動向


 6月5日の松下金融相の会見にて、中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)について、来年3月末を最終期限とする政府見解に今のところ変更のないことが明らかになった。以前より、円滑化法がデフォルト率に与える影響について、様々な方面から問い合わせをいただいていたところであるが、今回は、円滑化法の影響を受けた貸出先の多くが区分されている「要注意先」に注目し、その特徴の一端を見ることにしたい。

 図は、直近6年間の正常先・要注意先のデフォルト率(要管理先定義につき一般公表値とは水準が異なる)について、売上高規模別に集計したものである。これによると、2009年3月をデフォルト率のピークとして順調に低下する区分が多い中、売上高1億円未満の要注意先だけは横ばいを続けているのがわかる。この時期のデフォルト率低下の背景には、円滑化法をはじめとする政策支援と、金融危機以降の緩やかな景気回復という二つの要因が考えられるが、この区分の企業は、経営改善計画を策定するようなリソースに恵まれないほか、そもそも景気回復の恩恵が遅れがちな零細企業であることから、デフォルト率が高止まりした可能性がある。

 さらなる問題として、たとえ経営改善計画を策定できたとしても、景気回復の恩恵が十分でなければ経営改善計画が未達となり、要注意先から格下げされるケースも今後は増えることが懸念される。円滑化法の期限が決まった今、中小・零細の要注意先のデフォルト率は上放れの可能性も視野に入ってきており、今後の動向には注目が必要であろう。

(尾藤 剛)

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