HOME ≫ サービス ≫ 事業法人データベース ≫ RDB企業デフォルト率 ≫ バックナンバー【今月のトピック】

バックナンバー【今月のトピック】

2012年3月度(2012/5/31発行) デフォルト率の動向から見る構造不況業種


 5月17日に発表された本年1~3月期の実質GDP成長率(季節調整済、年率換算後)は前年比+4.1%の高い伸びとなり、国内景気は引き続き回復傾向にあることが示された。デフォルト率も同様に改善を続けており、2011年度の実績デフォルト率は3年連続の低下となった。

 2009年3月から始まったデフォルト率の低下局面について、この間のデフォルト率の変化幅を業種別に見たのが右表である。これによると、不動産取引業や情報サービス業、建設業といった元々のデフォルト率の水準が高かった区分にて、デフォルト率の低下が顕著に見られる。逆に、デフォルト率の水準に変わりがないのは、輸送用機械、金属製品、鉄鋼・非鉄金属といった、デフォルト率が元々低位にあった一部の製造業である。デフォルト率の動きとは景気循環におおむね連動するものであり、「山高ければ谷深い」のも景気動向と同様の特徴である。

 しかしながら、必ずしもこの原則に当てはまっていない業種の一つに挙げられるのが飲食業(右表では飲食・宿泊)である。飲食業のデフォルト率は3年間で0.5%pの改善幅に留まり、直近の3.7%という水準は、弊社25業種区分の中でも断トツのトップである。恒常的なデフレ局面にあって構造不況と形容される業種は数多くあろうが、景気回復の恩恵を十分に受けることなくデフォルト率が高止まりを続ける飲食業は、定量的に見ても深刻な構造不況の最中にあるものと言えよう。 

(尾藤 剛)

会員特典(会員様には無償にてご利用いただけます)