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バックナンバー【今月のトピック】

2012年2月度(2012/4/27発行) 信用ランク別とデフォルト率の関係


 欧州各国における過剰債務問題が、国際金融市場の中心的テーマとなって久しい。直近ではスペイン国債の利回り高騰を受けてあらためてソブリンリスク、すなわち国家の信用リスクが意識されており、当面こうした国々の財政破綻の可能性、とりわけ信用格付から目が離せない状況が続きそうである。

 一般に信用格付とは、デフォルト(債務不履行)の可能性に応じて付される符号であり、高格付の企業や国はデフォルトの可能性が低く、逆に低格付ではデフォルトの可能性が高いという関係にある。弊社では信用格付に類似の概念として、統計モデルの評価によって貸出先を区分した「信用ランク」をもとに、ランク別のデフォルト率を集計している。図は、直近3年間のデフォルト率について、信用ランクを上位4区分と下位4区分とに集約して示したものである。以前に示した債務(資産)超過の別によってもデフォルト率の水準には差が見られたが、信用ランクの場合は、水準と傾向の違いがより鮮明になる。

 特筆すべきは、上位4区分のデフォルト率の変動が極めて小さいことであり、特に2010年6月以降は、直近まで上下1bps以内の動きに留まっている。そしてこれは、デフォルト率の予見可能性という観点では、信用ランクという評価手法が非常に効果的に機能していることを意味する。サブプライムローン問題の発生以降、信用格付や金融工学そのものに対する「信用」が大きく揺らいだ感は否めないが、使い方さえ間違えなければ、リスク管理の分野においてこうした手法や技術が依然として大きな価値を発揮できることもまた事実であろう。かかる分野のプレーヤーの一人として、今後もタイムリーな情報提供を心がけ、信用格付や金融工学、リスク管理業務の信頼回復に努めていく所存である。

(尾藤 剛)

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