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バックナンバー【今月のトピック】

2011年9月度(2011/11/30発行) 中小企業貸出における保証政策と出口戦略


 11月11日に日本銀行より発表になった貸出先別貸出金(月次調査)の結果によると、2011年9月末時点での国内銀行の中小企業向け貸出残高は、前年比1.9%減の171兆1千億円となった。残高の減少傾向は一貫して続いており、前年割れは34ヶ月連続、また2ヶ月連続で前年を上回ったタイミングで見ると2007年8月まで、実に4年以上も遡らねばならない。いわゆるパリバショック以降、邦銀による中小企業向け貸出は一貫して減少しているのがわかる。

 そしてこの間、中小企業の信用リスクの担い手として残高を増やしたのが、信用保証協会による公的保証である。2008年の緊急保証制度により残高が大きく伸びたほか、最近も震災被害や円高に対応した特別保証制度などを通じて、中小企業の資金繰り支援を継続して行っている。直近の保証残高は35兆3千億円、銀行の中小企業向け貸出に対する割合は20.6%となり、「金融安定化保証」の当時をも上回る水準にまで上昇している。

 さて弊社では直近2年以上にわたり、デフォルト率が緩やかな低下局面にあることを繰り返し述べてきたが、全体の信用リスクが緩和される裏側で、かかる空前の「政府頼み」の状況が進行しているのを見過ごしてはなるまい。「セーフティネット保証」「東日本大震災復興緊急保証」といった全額保証型の特別枠については、本年度下期についても継続されることとなったが、最終的には財政負担につながる公的保証制度を無制限に続けることは許されない。今後は保証の規模を縮小していく出口戦略が重要となるが、銀行のプロパー貸出にも勢いが見込めない現状では、ソフトランディングに向けた繊細なかじ取りが中小企業政策にも要求されよう。

(尾藤 剛)

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