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バックナンバー【今月のトピック】

2010年12月度(2011/2/28発行) 業種別にみた貸出先の売上高規模構成


 RDB企業デフォルト率は、銀行貸出先全体を表す「全体」のほかに、貸出先の業種にて分けた6つのセグメントについてもそれぞれデフォルト率を計算して公表している。これは、貸出先の経営環境が業種によってある程度特徴づけられており、貸出先のリスク特性や、デフォルト率の動向も業種ごとに異なったものとなることが期待されるからである。銀行における貸出の審査や貸出金のリスク量の計測などの場面でも、業種ごとに区分して評価を行うことが多い。

 実際に業種別のデフォルト率の動きが、定量的に見て特徴あるものと言えるのかどうかを評価するために、全体のデフォルト率に対する業種別の値の相関係数を算出すると、不動産業が0.72と少し低めのほかは、いずれも0.88を超える高い値となる(2001/3~2010/12)。相関係数が高いほど二つの値は同じような動きをすることから、業種別のデフォルト率とは、水準にこそ違いはあるものの、方向感についてはどれも概ね似たり寄ったり、というのが実態のようである。

 では、業種別のデフォルト率の「水準の違い」は一体どこから来るものなのか。図は、売上高規模に応じて貸出先を区分し、その構成比を業種別に集計したものである。これによると、相関係数そのものが低い不動産業を除くと、規模の大きいグループ(卸売業、製造業)と、逆に小さいグループ(建設業、小売・飲食業、サービス業)とが、それぞれデフォルト率の低いグループと高いグループに対応するのがわかる(参考1の図を参照)。これは直ちに業種による特徴を否定するものではないが、業種別の区分と同じかそれ以上に、貸出先の規模もリスク特性に大いに影響していることは間違いなかろう。

 (尾藤 剛)

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