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バックナンバー【今月のトピック】

2010年11月度(2011/1/31発行) 「デフォルトDI」に見る今後のデフォルト動向


 2010年11月期のRDB企業デフォルト率は2.48%となり、目下のデフォルト率はなお緩やかな改善基調をたどっている。昨年1年間については、特に夏場以降、強弱それぞれの材料を抱えつつも緩やかな改善が続いていたが、ここへきて悪材料として新たに一つのシグナルが灯りつつある点について、ここでは指摘をしておきたい。
 弊社では、データの拠出をいただいている金融機関のみを対象に、昨年末より「デフォルトDI」という新たな集計指標を提供している。このDIは、RDB企業デフォルト率の算出対象となっている全ての銀行を対象として、当月のデフォルト件数が前年同月のそれを上回った銀行の数を集計し、全体を100としてその割合を表した数値である。従ってこの値が50を超えれば、前年同月よりも当月のデフォルト件数が多かった銀行の数が全体の過半数に達したことを意味している。同様の手法は日銀短観などでも見られるが、本DIは見方を変えると、大手行も地方銀行も同じ一票として数えた場合の、国内銀行全般におけるデフォルト率の動向を示した指標として理解することも可能である。
 図はデフォルトDIとデフォルト率の比較であるが、直近10年程度のデータにおいてはDIのデフォルト率に対する先行性を見てとることができる。両者の相関が最大となるのはDIを12~16ヶ月程度先行させたケースで、相関係数は約66%である。注目すべきは直近2010年11月で、DIは節目の50に迫る48.9まで上昇している。約半数の国内銀行においてデフォルト先の件数が前年を上回っており、デフォルト率の転換局面を示すのかどうかが注目される。

(尾藤 剛)

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