Riskpedia(信用リスク用語集)

非予想損失(非期待損失)

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読み ひよそうそんしつ(ひきたいそんしつ)
英語名 unexpected loss / UL

 複数の貸出が集まった貸出ポートフォリオを前提に、一定の確率のもとで発生が予想される最大の損失額から、平均的な損失額(予想損失、EL)を引いた差分のこと。「非期待損失」と呼ばれることのほうが多い。

 図は、ELとUL、VaR(value at risk)の関係をシミュレーション結果を用いてあらわしたものである。発生が見込まれる損失の平均的な値がELであるが、ちょうど棒グラフ全体の面積を2等分する箇所に位置する。ELよりも右側は、平均よりも大きな損失が発生するケースをあらわし、右へ進むほど発生頻度は減るが損失額は大きくなり、一番右端の最大損失とは、シミュレーションで観測された最大の損失額をあらわす。1,000回のシミュレーションであれば最大損失は「1,000回に1回の割合でしか発生しない最悪の事態」をあらわす。

 実際の金融機関のリスク管理上は、「最大」ではなく、「一定の確率のもとで発生が予想される最大」をもって管理上の最大損失としている。この確率を仮に99%とすると、1%(=100%-99%、図ではα%)未満の確率でしか発生しないような巨大損失は無視して、100回に1回の損失額をもって最大損失と定義することになり、これを99%VaRと呼ぶ。このときのX%を信頼水準といい、ULはVaRとELの差分で定義される。