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バックナンバー【今月のトピック】

2009年5月度(2009/7/31発行) RDB企業デフォルト率と景気動向指数


RDB企業デフォルト率は、全国の銀行の貸出先における、直前1年間のいわば「不良債権化率」をあらわしている。これは、貸出金額とは無関係に件数を基準に算出しているため、数値の傾向としては、上場企業をはじめとする大企業よりも銀行貸出先に占める件数割合の高い、中小企業の「不良債権化動向」をよりよく反映しているものと考えられる。

図は、RDB企業デフォルト率と、内閣府発表の景気動向指数(CI、先行系列)とを比較したものだが、両者は鏡に映したような関係にあるのがわかる。すなわち、景気拡大局面ではデフォルト率は低下し、景気減速局面では逆に上昇している。2001年3月以降両者の相関係数は-0.84と、非常に高い負の相関を示している。

一方、ここ数年来の動きで特徴的なのが、景気動向指数は昨年秋のいわゆる「リーマンショック」を契機に急速に水準を切り下げたのに対して、RDB企業デフォルト率はその1年以上前に急激な悪化に転じて以降、昨年秋に何らかの新しい動きが加わったような推移にはなっていない。これはすなわち、中小企業のデフォルト率が高いのは突発的な金融危機のせいではなく、そもそもの資金調達環境が厳しかったという事実の裏返しに他ならない。ここから読み取れるのは、本邦中小企業を取り巻く目下の金融環境の悪化は、一時的なショックに起因するだけでなく、より構造的な原因を内包したものである可能性が高いということである。

昨今のニュースフローの中には、グローバルに事業展開する大企業の業績底打ち観測をはじめ、景気の先行きに楽観的なものも見られるようになってきた。しかしながら、中堅・中小企業の景況感は必ずしも大企業のそれと同じくするものではない。デフォルト率の先行きを考える上では、こうした企業規模の特性も考慮に入れる必要があろう。

(尾藤 剛)

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