融資審査業務革新
~科学的アプローチによる融資審査業務の再構築~
取引先の信用力を評価する《格付業務》と、個々の融資案件の諾否を審査・決裁する《融資審査業務》は、与信業務における車の両輪です。
《格付業務》については、1997年にJ.P. Morganが公表したCreditMetricsを契機に大きな変革がもたらされました。PDやLGDといったパラメータにより信用リスクを統一的な尺度で可視化する枠組みが確立され、内部格付制度や信用リスク計量化は飛躍的に進化しました。
一方、《融資審査業務》はこうした変革の潮流から取り残され、長年にわたり旧態依然とした運営が続いています。電子稟議システムの導入等の変化は見られるものの、その本質的な構造はほとんど変わっていません。
この融資審査業務は、大きく二つの要素に分解できます。一つは《与信決裁権限》であり、個々の融資案件の諾否判定をどの階層の決裁者に委ねるかを規定します。もう一つは《融資案件審査》であり、個々の融資案件のリスクをどのように評価し、どのような判断軸で意思決定を行うかという与信判断プロセスです。
まず《与信決裁権限》についてです。与信決裁は、融資案件をバランスシートにブッキングするか否かを判断する極めて重要なプロセスです。その適切性は金融機関の健全性に直結するため、リスクの高い案件については、十分な審査能力と責任を有する上位者が判断する必要があります。
一方で、案件リスクの軽重と問わず上位者による決裁を前提とすれば、審査コストは膨大となり、業務の効率性は著しく損なわれます。すなわち、《与信決裁権限体系》とは、リスク管理の適切性と審査業務の効率性という相反する要請をバランスさせ、経営資源の最適配分を実現する枠組みなのです。
これを実現する鍵は、決裁権限体系を案件のリスクを測る適切な「モノサシ」に基づき設計することです。しかしながら、現行の与信決裁権限体系は、数十年にわたり基本的な骨格がほとんど変わっておらず、格付別・担保有無別のテーブルに加え、期間や返済方法、金利水準等の要件を重層的に積み重ね、複雑かつ難解な体系となっています。
RDBはこの課題に対し、《EL与信決裁権限体系》を提供しています。期待損失(EL)に加え、貸出期間や返済条件、金利水準等を統一的な定量指標として用いることで、融資案件のリスクに応じた合理的な決裁権限体系を確立し、リスク管理の適切性と審査業務の効率性を高い次元で両立させます。
次に《融資案件審査》についてです。統一された評価手法や判断基準が確立されない中、営業現場と審査部門がそれぞれの思いをぶつけ合いながら、十分な納得感が醸成されないまま合意形成を図る、極めて属人的な運営に依存しています。その結果、案件の難易度や判断内容が可視化されず、生産性や効率性の向上に繋がらない構造となっています。
加えて、こうした運営を支えてきた審査人材、すなわち融資審査に精通した人材も組織から払底しつつあり、属人的運営そのものが持続困難な状況に近付いています。
RDBはこの課題に対し、《融資案件評価モデル》を提供しています。本モデルは、財務情報および案件情報に基づき、各評価項目を統一的な尺度で定量化・可視化することで、融資案件のリスクや難易度を網羅的に評価します。
これにより、財務分析や案件評価が定量化・標準化され、客観的評価が起点となることで、不毛な調整コストが削減され、審査リソースを本質的な論点に集中させることが可能となります。すなわち、本モデルは融資審査業務を科学的に再構築し、《生産性・効率性》と《事業金融力》の強化を同時に実現する枠組みです。
