大企業モデル(TARRM)

~IG先・Non-IG先推計からDF判別まで網羅する3軸評価モデル~

長年続いた金融緩和政策のもとで、地域金融機関における大企業向け与信の構造は大きく変容しました。従来の大企業取引は、地場の上場企業を除けば、中小企業に比して規模の大きい非上場企業が中心でした。しかし、恒常的な預金超過構造のもとで資金運用の多様化が進み、メガバンク主導で組成されるシンジケートローンへの参加を通じて、外部格付を有するいわゆるグローバル企業・ブルーチップ企業へのエクスポージャーが着実に増加しています。

こうした構造変化に伴い、大企業に対する信用リスク評価の重要性は一段と高まっています。外部格付を有する企業へのエクスポージャーが増加する中で、内部格付を外部格付と整合させることは、プライシングや取引方針といった業務推進の観点から極めて重要です。一方で、評価対象の大部分は引き続き非上場企業であることから、バーゼル規制のもとでは、それらの先に対する格付序列の妥当性やデフォルト判別能力の確保が、規制要件の根幹を成しています。

以上を踏まえると、大企業向けの内部格付制度には三つの要請が存在します。すなわち、外部格付を有する投資適格先に対する外部格付推計能力、非上場大企業を中心とする非投資適格先に対する格付序列の妥当性、そしてデフォルト判別能力です。現状のポートフォリオ構造を踏まえると、これらを一体的かつ整合的に満たす内部格付制度が不可欠となっています。

しかしながら、現行の大企業向け内部格付モデルは、これらの三つの要請を同時に満たしていません。実務上、金融機関は概ね二つの類型のモデルのいずれかを活用しています。一つは、一定規模以上の企業データに基づき構築されたデフォルト判別モデル、もう一つは、外部格付を有する企業を対象とした格付推計モデルです。前者はデフォルト判別能力には優れるものの外部格付との整合性に課題があり、後者は外部格付推計には優れる一方で、非投資適格先の序列評価やデフォルト判別能力を備えていません。

RDB新大企業モデル《TARRM》は、こうした三つの要請を一体的に実現することを目的として開発したソリューションです。《TARRM》とは、“Triple Axis Risk Rating Model”の略称であり、外部格付推計能力、格付序列の妥当性、デフォルト判別能力という三つの軸を統合したモデルです。

本モデルがこれら三つの軸を統合できる最大の理由は、その構築手法にあります。外部格付推計にあたっては、非投資適格先やデフォルト先を含む豊富な格付情報を有するS&Pのグローバル格付データを活用しており、国内では十分に確保することが難しい非投資適格ゾーンを含めた幅広い信用レンジの評価が可能です。

さらに、RDBが長年蓄積してきた大企業データ、とりわけ希少性の高いデフォルトデータを活用することで、実際のデフォルトリスクと整合的な評価を実現しています。これにより、内部格付制度に求められるデフォルト判別能力を確保し、バーゼル規制上の要件を充足する枠組みとなっています。

RDB新大企業モデル《TARRM》は、三つの要請を一つの枠組みで整合的に実現します。従来は違和感を覚えつつ運用せざるを得なかった大企業向け格付に対し、本モデルは格付評価の適正化を図るとともに、大企業向けビジネス推進の基盤となるものです。