粉飾決算検知モデル
~粉飾決算に翻弄されない確かな眼の確立~
近年、企業の粉飾決算事案が相次いでいます。その象徴的な事例が、2023年に経営破綻した老舗ベアリング商社の事案です。およそ20年にわたり架空売上の計上と簿外債務の隠ぺいが継続され、約50に及ぶ金融機関が欺かれていたこの事案は、金融機関に大きな衝撃を与えるとともに、社会的にも強い注目を集めました。その後も同様の不祥事は後を絶たず、粉飾決算はもはや例外的な事象ではなく、金融機関にとって現実的かつ構造的なリスクとして認識すべき局面に入っています。
こうした状況を受け、金融庁は金融機関に対し、粉飾リスクへの対応強化を強く求めています。そのうえで、モニタリングレポート等を通じて、各金融機関における健全なリスクカルチャーの醸成や、強固なガバナンス態勢の確立に向けた進捗状況を継続的に検証していく方針が打ち出されています。
しかしながら、なぜ金融機関における粉飾リスク管理の高度化は進まないのでしょうか。
実態を見ると、粉飾事案に対する事後検証を実施する態勢が構築されていないばかりか、粉飾先の財務データの蓄積すら十分に行われていないのが現状です。また、弥縫的な対応の積み重ねにより、多数の債務者に対して過剰にアラートが表示され、検証の焦点が定まらないまま形式的なチェックにとどまっている運営も多く見受けられます。
こうした場当たり的な対応に陥る背景には、粉飾決算事案に対する向き合い方に課題があります。粉飾事案は、企業実態を見極めるという金融機関の本源的な能力が問われるものであり、その見落としは当該能力の欠如と受け止められかねません。そうした性質ゆえに、過去を蒸し返すような取組みは敬遠され、当該事案を例外的な事象と位置付けて早期に収束させることが優先される傾向があります。その結果、組織として知見を蓄積・共有していく構造が十分に形成されていないのが実情です。
粉飾リスクへの対応は、組織全体の一貫した方針のもとで統制し得る、強固なガバナンス態勢として構築する必要があります。すなわち、粉飾リスクを一過性の事象として処理するのではなく、一定の確率で発生し得るものとの前提に立ち、損失が顕在化する前に粉飾先を未然に検知し、適切な対策を講じていく枠組みへの転換が不可欠です。
RDB粉飾決算検知モデルは、こうした要請に応えるために開発したソリューションです。約20の金融機関が参画する「RDB審眼融資研究会」において構築したものであり、RDBの膨大なデータベースに加え、参加金融機関から拠出された多数の粉飾先の財務データを基盤としています。これにRDBの分析技術と金融機関の実務知見を融合させることで、極めて高い精度を備えたモデルへと練り上げています。
本モデルは、単に高い判別性能を有することにとどまりません。高度な分析手法を用いながら、評価結果に対する高い解釈性を実現しています。具体的には、どの財務項目が粉飾リスクの判定に大きく寄与しているのか、また通常のデフォルトリスク評価との比較において、どの項目に乖離が生じているのかを把握することが可能です。
これにより、審査部門や営業現場は、粉飾の兆候や手口に対する具体的な気づきを得ることができます。どの項目に着目し、何を解明すべきかが明確となることで、顧客との対話も論点を絞った実効的なものへと変わります。
その結果、粉飾決算事案を一過性の問題として処理するのではなく、組織として継続的に捉え、活用していく運営へと変革します。RDB粉飾決算検知モデルは、検知・検証のプロセスを可視化・共通化することで属人性を排し、健全なリスクカルチャーの醸成と強固なガバナンス態勢の構築を実務として実現します。
