自己資本比率規制においては、銀行は自らが保有する資産の価格変動リスクを計測したうえで、それに見合った所要自己資本額を算出することになっている。先進的内部格付手法とは、価格変動リスクにさらされている資産のうち、「信用リスク」を計測する際に認められた3つの手法のうち、最も高度な計算方法のことをいう。
　銀行が先進的内部格付手法を採用するためには、告示（銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準）にて定められた、所定の信用格付制度を整備し、監督当局の承認を得る必要がある。
　先進的内部格付手法にて所要自己資本を計算する場合には、自行にて推計した債務者格付ごとのPD、および案件格付ごとのLGDをリスクパラメータとして使用し、信用リスクを計測することができる。現状では最も精緻に信用リスクを計測できる手法とされており、これに伴ってバッファーの要素が少ないことから、一般的には所要自己資本の算定上は最も有利な扱いを受けることになっている。